引き戸を開け、黒い敷石を踏みながら入ると、そこは我が家。この玄関は父が特別に私の好みを取り入れて作ってくれたものです。今では珍しい、純日本風の家屋です。この家から会社に通って今年で25年になりました。井口葬儀店では、人生最後のお世話をする仕事をさせていただいた事を大変誇りに思っています。人生の儚さを日々実感する事から、生きている事の尊さ有難さを始め、多くの事を学ばせていただきました。今年を退職の年と決め、これからの人生の過ごし方をより深く考えるようになった今日この頃です。

 仕事と同時にお茶の道も学び続け48年の年月が過ぎました。現在私は、本多公民館で子供たちにお茶を教えています。子供たちの真剣な学ぶ姿に、私自身がエネルギ-をもらっていることを強く感じています。その教室の様子を見て、大人の方々からも教えてほしいとの声がかかり嬉しい限りです。
 これからは、床の間に軸を掛け、炉を開き釜を据え、狭いながらも露地を歩いて和室に入るこの家を生かし、茶道教室を開けたらと考えるようになりました。

 古き良き日本の伝統文化である茶道を伝えていくことと、気軽に生活のなかにお茶を取り入れ楽しんでいただきたいと思います。茶道を通じて我が家を人との出会いの場所にし、父の作った黒い敷石の玄関を踏み、たくさんの人が通ってくれたら、私もこの家も幸せです。その為にも健康を維持し、日日是好日を願い、人生を謳歌していきます。

文責:當麻 満子