用語集 Glossary
# 人物・役割
納棺師とは?役割・仕事内容・依頼方法をわかりやすく解説
大切な方をお見送りする葬儀の場で、「納棺師」という言葉を耳にしたことはありますか?初めて聞く方も多いかもしれませんが、ご遺族が故人に心を込めた最後のお別れをするうえで、とても大切な存在です。
納棺師(のうかんし)とは
納棺師とは、故人を棺(ひつぎ)に納める専門家のことです。単に故人のお身体を棺へ移すだけでなく、故人の尊厳を守りながら、ご遺族が安らかにお別れできるよう丁寧に整える役割を担います。なお、「納棺師」は法律や業界団体が定めた正式な資格名称ではなく、こうした専門的な役割を担う方を指す通称として広く使われています。
具体的な仕事内容としては、まず故人のお身体を清める「湯灌(ゆかん)」と呼ばれる儀式があります。温かいお湯で全身を優しく洗い清め、故人が生前の穏やかな表情に近づくよう整えます。続いて「死化粧(しにげしょう)」として、髪を整え肌に化粧を施し、生前のお顔に近い自然な状態へと整えます。最後に、白装束(しろしょうぞく)や故人が愛用していた衣服をお着せし、棺の中へと丁寧に納めます。白装束は主に仏式の慣習であり、神道・キリスト教・無宗教式などでは用いない場合もあります。ご宗派やご家族のご意向に合わせて、衣装はご相談のうえ決めていただけます。
こうした一連の作業を通じて、納棺師はご遺族と故人をつなぐ「最後の時間」を大切にサポートしてくれる存在です。ご家族が納棺の儀に立ち会い、故人に直接触れながらお別れできる場を整えることも、納棺師の大切な役割のひとつとされています。
由来・背景
納棺師という職業が広く知られるようになったきっかけは、2008年に公開された映画『おくりびと』です。この作品がアカデミー賞(外国語映画賞、現在の国際長編映画賞にあたる部門)を受賞したことで、日本国内でも納棺という仕事への関心が一気に高まりました。
それ以前は、納棺の作業は葬儀社(そうぎしゃ)のスタッフが行うことが一般的でした。しかし映画をきっかけに、故人をより丁寧に、専門的な知識と技術をもってお見送りしたいというご遺族の思いが広まり、納棺師という専門職への需要が生まれていきました。現在では全国各地に納棺師が活躍しており、葬儀社を通じて依頼できる環境が整ってきています。
知っておきたい注意点・ポイント
納棺師への依頼は、ご自身で直接手配するのではなく、葬儀社を通じて手配するのが一般的です。葬儀のご相談の際に「納棺師にお願いしたい」とお伝えいただければ、葬儀社が対応可能な納棺師を手配してくれます。
事前に確認しておくと安心なポイントをまとめました。
- 湯灌(ゆかん)の有無:故人のお身体を清める湯灌は、すべての葬儀で行われるわけではありません。また、浄土真宗など宗派によっては湯灌を必要としない考え方もありますので、ご希望の場合はご宗派とあわせて事前にご確認ください。
- 死化粧(しにげしょう)の内容:化粧の仕上がりや衣装についても、生前の写真をお持ちいただくと希望を伝えやすくなります。
- 費用の目安:湯灌や死化粧を含む納棺師のサービスは、内容や地域によって異なりますが、一般的には湯灌・納棺をあわせて数万円程度を目安とする場合が多いようです。葬儀の見積もり段階で、何が含まれているかをしっかり確認しておきましょう。
- 立ち会いの可否:ご家族が納棺に立ち会えるかどうかも確認を。多くの場合、ご遺族が見守る中で行われますが、事前に確認しておくと安心です。
まとめ
納棺師の存在を知っておくことで、「故人に最後の丁寧なお別れをどのように整えるか」をご遺族が主体的に考えるきっかけになります。大切な方への想いをかたちにするために、葬儀の準備段階でぜひ一度ご検討ください。
わからないことや気になることがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。