母が亡くなり今年で5年が経ち、長い間母と共に過ごした住み慣れた団地を引っ越すことになりました。引っ越しを決めるまでが2年、決めてから実際に新居へ住み移れたのはそこから半年が経ってからでした。
新たな気持ちで新居に移り引っ越しを機に家具家電なども新調した日の夜、まだ開梱されていない大荷物を前に引っ越しまでの期間を振り返ると、ここまで来るのに沢山の人の手を借りたのだということを実感しました。物件選び、登記の手続き、住宅ローン、準備のできるまでの仮住まいなどなど…。はじめてのことばかりで戸惑う私を、たくさんの人が助けてくれました。この経験は、私にとって「好機」の出来事なのだと、新居に帰るたびに思います。それは、初引っ越しの経験を経て沢山の事に気づいたからです。
私は今まで、仕事も生活もなんでも一人で努力し一人で成し遂げていけると思っていました。しかし、60歳を過ぎ新しい事へのチャレンジが、今までのように簡単にいかないことも多く、人に教えを請うたり、手伝いを頼むにあたり、もしかしたら一人でやってきたと思っていたのは勘違いだったのではないだろうかと思うようになりました。後輩のサポートや、友人たちの思いやりを、当たり前のことだと思って気づかずに過ごしていたとしたら、申し訳なく皆のおかげ様と思うようになったのです。今までの自分を振り返り、仕事への自信から慢心し、同僚や後輩へ怒りや腐りをあらわにしていたことが恥ずかしく感じます。
「好機」に気づけて良かった!
自然と仕事への心構えも変わってきた気がします。もっと社内全体のためになるような視点が持てるようになりたい!そして後進の「道しるべ」になれるよう匠を目指してもっともっと知識経験を増やし、より、お客様へ安心を届けられるようになりたい!と考えるようになりました。してもらったこと、想ってもらってたことを常に忘れずに、感謝の心を持って世の中に接し、今までいただいた沢山の優しさや想いを世の中にお返ししていける葬儀者になりたいと、心に誓う新居での毎日です。
文責:青柳 晋弘