2019年05月08日(水)

~信仰を肌で感じる~

 先日、近隣のお寺様による、檀家さんとの本山参拝旅行に同行する機会がありました。奈良県初瀬にある真言宗豊山派総本山長谷寺、「花の御寺」とも呼ばれる、1年を通して様々な花の咲く古刹です。私の訪ねた時は、吉野桜、枝垂桜と桜の頃で、見事な風景でした。

 本堂に行くには仁王門をくぐり上中下の三廊に分かれている全長108間の登廊を登っていきます。本堂には日本最大級の木造仏像である、本尊:十一面観世音菩薩が祀られています。長谷の本尊は7度の焼失を越え、今在るのは1538年に造られた8代目の菩薩様です。
727年に初めて長谷に菩薩様が祀られてから1200年余り、古来の日本の人々が何度燃えてもこの信仰の対象を欲し求めたことを思うと、鳥肌の立つような感動を覚えました。10メートルの立像を御足元から見上げると、現在からは考えられないような悲しい時代・貧しい時代・つらい時代を過ごされた人々の救いの一つが、確かに信仰であったという証なのだと感じ、なんとも言えぬ心の震えと共にじわりと目が潤みました。

 法要のため本尊の前に座すと、鎮とした御本尊を覆う本堂の屋根に、若い僧侶様方の読経の声が響き渡ります。灯された沢山のローソクがその響きにわずかに震えゆらゆらと、まるで表情を作り出すかのように御本尊を照らします。御香・御経・御光に満ちた本堂は凛として美しく、天から蓮の花が降り注ぐかのような清々しく清らかな空気を感じました。
 昔から続く仏事の作法の一つ一つの意味を考えると、人の思いが作り上げてきた歴史の深さに心底敬いの思いがこみ上げてきました。

 私には、仏教をはじめ、まだまだ信仰のあれやこれやを本質から理解するには及びませんが、私たちの仕事は故人様方をこんなにも尊い世界へとお送りできる稀有な仕事なのだと、その使命にとても身が引き締まります。葬儀の仕事を生業にする私にとって、素晴らしい経験ができました。この感動や、信仰の象徴に直に触れられた実感を忘れず、錆せることなく今後も邁進していきます。