来月10月は神無月(かんなづき・かみなしづき)。私の故郷の島根県は神在月(かみありづき)と言います。島根の企業で作成されるカレンダーは神在月の表記が主流です。全国の八百万の神様が出雲の地に集まり、自らが鎮座する土地の様々な縁結びについて神議をするそうです。よって、出雲の地の10月は神在月、神様不在の他の地は神無月というようになったそうです。神話をテーマとした郷土芸能の神楽が盛んな土地で育った私にとって、神様は小さい頃から身近な存在でした。

 葬儀の仕事に就いてから初めての神道式。これまで神楽の道具として見ていた物が神葬祭の飾りに使われる三種の神器である事を知りました。三種の神器とは、八咫鏡(ヤタノカガミ)、八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)、草薙剣(クサナギノツルギ)で、神話の世界を起源として、今日まで形を変えずに受け継がれた大切な品です。鏡は知恵を、勾玉は慈悲深さを、剣は勇気の象徴とされており、神器を伝承する事によって、知恵や判断力を身につけ、慈悲深い心と勇気を持って行動する事の大切さを後世に伝えているのだと気付かされました。

 どんなに時代が変化しても変わらない慣習や、時代の変化の中によって生まれた新たな慣習にも、いろいろな想いが込められています。葬儀もその一つだと言えるのではないでしょうか。ひとは旅立つ時、ゆかりのある方々が集う機会をつくってくれます。自宅葬が主流であった頃は、ご近所の方がお寺様の接待や葬儀の食事を作るなどお手伝いが不可欠でした。通夜には親しい人が集まり、お線香を供えたそうです。今日では斎場や会館で執り行われる事が多くなり、コロナ禍で近親者のみの家族葬、通夜のない一日葬も増えた事で、人との関わりが少なくなりました。普段出会えない親戚、ご縁のあった友人、近所の方との交流が深まり、そこで築かれた絆が残されたご家族の支えになる事を、私たちは葬儀を通して伝えていく役割も担っていると感じています。

 古くから伝わる地域の風習、人との繋がりの大切さを子どもたちへと伝承していく事で、子どもたちの成長の場へと繋げていければ本望です。葬送の時を通して大切な人との心の絆を確認し、これからの生活が整えられるようなご提案をしながらお手伝いさせていただきます。

文責:笠柄君予