長女が大学入試、次女が高校入試と今年は二人の娘がそろって受験生です。6月頃に部活も引退し、受験生らしく勉強に励んでいます。夏休み中も、それぞれ塾の夏期講習や模擬試験、志望校の見学など、朝から晩までとても忙しく過ごしています。私は学生時代そんなに勉強した覚えがなく、只々感心するばかりです。この夏は来年の入試に向けた彼女達の頑張りどころなのでしょう。

 人生に於いての頑張りどころは誰にでもあり、そこが人生の節目になると思います。頑張りの結果がどうであれ、その時を真剣に一生懸命に過ごす事で、自身の成長に繋がり、人生を豊かにしてくれると信じています。ピリピリして、挨拶も無ければ見向きもされない塩対応の日も多い彼女達ですが、体調を崩していないか、睡眠はとっているのか、何か悩んでいることはないか、親として心配事は尽きません。

 私達がお手伝いさせて頂く葬儀も人生の一つの節目と言えるでしょう。振り返った時に「良い葬儀だったね」「新たな出発の準備が出来た」「今はとても幸せに過ごせている」と思っていただけるようなサポートをしていかねばなりません。葬儀を執り行う事が故人様との別れの悲しみを少しずつでも和らげてくれる事にもなり、その先へと繋がるとても大切な「節目」になると考えています。残されたご家族や親しい方々の想いをしっかり聴き尋ねて葬儀という形にしていきます。

 その為に私が心掛けている事は、ご遺族の表情をしっかり見る事です。ご主人との馴れ初めを優しい表情でお話される奥様や厳しかった父親の趣味の絵画を誇らしげに説明される息子さん、お話する内容や表情は様々です。どんなご提案もアドバイスもその表情を見落としては、真に寄り添ったものにならないのではと考えています。
 葬儀社である私達だからこそ、気がつける想いや表情、仕草を見逃さないよう心がけています。

 さて、我が家の二人の受験生達がこの夏を振り返った時、「今楽しく過ごせているのはあの夏を頑張ったからだ」と思ってもらえるよう、父として節目の一助となる事を見逃さない様に過ごす毎日です。

文責:加藤洋一